【徹底解説】モンテッソーリ教育が怖いといわれる理由とその真相

モンテッソーリ教育は怖い

GoogleやAmazon、Wikipediaの創業者が受けた教育として、世界中で知られており、藤井聡太棋士の活躍により日本でも一躍注目を集めたモンテッソーリ教育。

「どうやら、おしごとという特別な活動をするらしい」「教具っていうものがあるらしい」と少しずつ広まってはいるものの、詳細な情報はまだまだ浸透しておらず、「よくわからないし、なんか怖い」という声があるのも事実です。

今回は、モンテッソーリ教育が怖いといわれる理由とその真相について、モンテッソーリ教師が解説します。

こんなあなたへ

モンテッソーリ教育ってよくわからない。宗教?

独特の空気感が怖い!

目次(クリックしてジャンプ)

宗教っぽくて怖い

モンテッソーリ教育が怖いといわれる原因のひとつが「宗教っぽいから」というものです。

日本では、クリスマスをお祝いし【キリスト教】、お正月は神社に初詣に行き【神道】、お盆にはお墓参りに行く【仏教】といったように、宗教的な年中行事が数多く存在しますが、多くの人はこれらの行事を宗教行為として意識していないのではないかと思います。

そして、改めて宗教というものを意識する場合、「宗教の勧誘を受けた」「宗教にハマる」というように、ネガティブなイメージで使われることが多くあります。

~ちなみに~

MEMO

NHK放送文化研究所の2018年の調査によると、日本人の6割が「自分は無宗教である」と解答しており、「宗教に危険を感じる人は、感じない人よりも多い」という結果が示されています。

また、宗教に危険を感じる背景には、1995年の地下鉄サリン事件(オウム真理教)の影響があるのではないかと分析されています。

私自身も、「モンテッソーリ教育ってなんか、宗教っぽいよね」と言われることはよくあるのですが、肯定も否定もしづらいため、いつも困ってしまいます。

というのも、マリア・モンテッソーリはキリスト教徒でしたので、彼女の思想にはキリスト教的な考えが多分に含まれています。彼女の著書の中でも、しばしば聖書が引用されていたり「神のお導き」といった言葉が使われているため、そういった意味では、宗教っぽいといえるかもしれません。

しかし一方で、モンテッソーリ教育は何か特定の思想・信条を強要するものではありません

モンテッソーリ教育はカトリック系の幼稚園で取り入れられていることが多いため、そういった誤解が生まれてしまったのかもしれませんが、お寺の付属幼稚園でモンテッソーリ教育が実践されていることも珍しくありませんし、宗教とは全く無関係な園もたくさんあります。

全国のモンテッソーリ園一覧はこちら

日本人の宗教観的に、少しでも宗教っぽさがあるとなんとなく怖いと感じてしまうかもしれませんが、モンテッソーリ教育自体が宗教であるということは全くありませんので、安心していただければと思います。

先生が怖い

モンテッソーリ園を見学に行かれた方から「先生が怖い」という感想を聞くことがあります。これは、大声でしかる、叩くといった鬼教官的な怖さではなく、笑顔がない、感情がないといった怖さです。

一般的に保育園や幼稚園というと、元気いっぱいニコニコ笑顔の先生が大きな声で、「みんな~、○○するよ~!」と号令をかけたり、「○○ちゃん、すご~い!」と褒めたりといったことがイメージされるのではないかと思います。

しかし、モンテッソーリ教育では教師はこどもの援助者であるため、活動を主導することはしませんし、何かできたことを褒める(評価する)こともありません。

教師はできるだけ環境に溶け込み、こども達の活動の邪魔にならないようにそっと見守ります。

以前、モンテッソーリ園を見学した友人に感想を聞いてみたとき「子どもが活動しているのを先生が無表情でじっと見つめていて怖かった」といわれたことがあります。

モンテッソーリ教育について知らない人から見ると、なんて怖い先生だと思ってしまうのも仕方ないことなのかもしれませんが、その先生はきっと、こどもの集中を妨げないように、無駄な声かけをせず、自分自身も集中して活動を見守っていたのだと思います。

モンテッソーリ園の先生は確かに静かで、あまり干渉しないため、一般的な元気で明るい先生とは異なるイメージではあると思います。

しかし、これは、無気力だとか愛想がないということでなく、こどもの活動の邪魔にならないように見守っているということなのです。

活動を終えた子どもが「できたよ!」「先生見て!」と見せに来たときには「できたんだね」「たくさん描いたね」といった声かけはもちろんありますし、日常の中でも、笑顔で子どもたちと接しています。

また、モンテッソーリ教育において、大人の態度はこどもに及ぼす影響が大きいものとして重要視されており、教師養成コースでは、モンテッソーリ教師としてふさわしい振る舞いや考え方を学びます。

保護者が怖い

女性3人の写真

モンテッソーリ教育は、簡単に言い表すとすれば、子どもたちが持っている「より良い自分になろうという欲求」に注目し、無限の可能性を伸ばすことを目的としている教育です。

日々の活動は子どもの自然な欲求に基づいて行われるため、大人が意図した特定の知識を身につけさせるようなものではありません。

しかしながら、日本では、モンテッソーリ教育=知育教育と誤解される傾向があり、小学校受験や中学校受験を視野に入れている教育熱心な親御さんからの関心が高いことも事実です。

モンテッソーリ園のママ友の会話では、「どこどこの塾が受験に強い」「○○中学に入りたいなら小学校はここに入るのがいい」といったお受験トークに花が咲くことも多く、会話についていけない、あるいは、教育熱心すぎて怖いと感じてしまう人も多いようです。

人気集めのためだけに「モンテッソーリ教育」を謳っている園はお受験との結びつきが強い傾向にありますが、本当に、純粋なモンテッソーリ教育を実施している園もあります。

園の見学説明会などで雰囲気を確かめられるといいですね。

モンテッソーリ園の見分けかたはこちら

まとめ

ということで今回はモンテッソーリ教育が怖いといわれる理由とその真相について解説しました。

モンテッソーリ教育は、お医者さんが、子どものこころとからだの発達を研究して作り上げたものであり、現在も世界中で実践されている教育方法です。

決して怪しいものではありません。

モンテッソーリ教育に限らず、良く知らないものは怖いものなので、もっとモンテッソーリ教育についての正しい理解が広がっていくといいなと思います。

こちらも参考に

モンテッソーリ教育とは?【国際協会認定教師が解説】