【なぜ低くなる?】自己肯定感はそもそも高いものである

先日、『生きることと自己肯定感』という本を読みました。

著者は京都大学教育学部を卒業され、臨床心理を専門にされている高垣忠一郎先生です。

2004年初版ということで、当時の教育問題についての記述もありますが、その大部分は2022年の今読んでもハッとさせられる、本質的なものでした。

自己肯定感という言葉は最近よく耳にしますし、

「子どもの自己肯定感を高めたい!」

「子どもの自己肯定感を上げるには何をしたらいいの?」

と相談されることもあります。

今回は、この自己肯定感について考えてみたいと思います。

自己肯定感とは?

自己肯定感とは、読んで字のごとく「自己を肯定する感覚」のことです。

「自分はありのままでいいんだ」「自分には存在価値がある」と自分のことをポジティブにとらえられている状態が自己肯定感が高いといえます。

高めることばかりが注目されているため、なんとなく、自己肯定感は高めないといけないものなんだと思いがちですが、日本セルフエスティーム協会のWebサイトには

本来、生まれながらにして自己肯定感が低い子どもはいません。子どもはみな自己肯定感を持っていますが、育つ環境で、もともとあった自己肯定感が低くなってしまうのです。

一般社団法人日本セルフエスティーム普及協会

とあります。

たしかに、生まれたばかりの赤ちゃんが

「僕はこの世に生まれてきてはいけない存在だった―!」

「私はこんなんじゃだめだ―!」

なんて思っているでしょうか?



・・・きっと思ってないですよね (笑)

最近では、子どもの自己肯定感について考えているお父さんやお母さんに向けて

自己肯定感を高めるおもちゃ」や「自己肯定感を高める絵本」

など、様々な商材があります。

しかし、わざわざ自己肯定感を高める努力なんてしなくても、すべての子どもが自己肯定感持っているのであれば、それを下げなければいいわけです。

では、どういう場合に自己肯定感が下がってしまうのでしょうか?

自己肯定感が低くなるパターン① 他人と比べられる

「保育園のお友だちの○○くんは自分でお着替えできるって言ってたよ」

「○○ちゃんは今回のテスト100点だったって!」

こういった言葉ってよく耳にしませんか?

子どもにがんばってほしいという思いで、子どもを鼓舞するために使われる言葉だと思います。

これについて、冒頭で紹介した本にはこんな記述がありました。

常に他人を引き合いに出して、他人と比べられ、駆りたてられて育ってきている子どもたちは、「自分が自分であってはダメで、他人でなければならない」と思いこまされてきているのである。だから、「自分が自分であって大丈夫」という自己肯定感をもてないでいる。

高垣忠一郎『生きることと自己肯定感』

現代社会においては、勉強にしても運動にしても競争はつきものですよね。

他人と比べられて育ち、次第に自分自身も他人と比較することが当然になってくる。

そして「自分は自分であってはだめだ」と感じ、自己肯定感が下がっていく。

これがひとつのパターンです。

「あの子はできているのに自分は全然だめだな~」って思ったことなんて、数えきれないほどあります!

自己肯定感が低くなるパターン② おせっかいな大人がいる

みてみて!絵を描いたよ!

きれいだね!空は青で塗ったほうがいいんじゃない?

自分で靴下はいたよ!」

COCO
COCO

わー!すごい! けど、左右逆になってるよ

訂正したりアドバイスをする場面、よくありますよね。

大人からすると、より良くなってほしいという思いで言っていることであっても、子どもにとっては

「あなたは間違っている」

「今のままではいけない」

というメッセージになってしまいます。

普段何気なくアドバイスをするときにも、それが子どもの自己肯定感を下げることに繋がっていないか注意したいですね。

自己肯定感が低くなるパターン③ よい子であることの強要

いい子にしてたからおやつあげようね。

いい子にしてないと遊びに連れて行かないよ

「いい子」というのはとても便利な言葉で、私自身も気を抜くとつい使ってしまいそうになります。

高垣先生はこれについて

心理臨床の場で、私が出会う多くの子どもたちはのちに詳しく述べるように「よい子」でないと見捨てるぞ」という「脅し」の教育や子育ての中で、見捨てられて自分の無価値感や自己否定感に打ちひしがれていたり、「見捨てられる不安におびえ、自由にありのままの自分を表現したり主張できたりできずに、我慢を強いられている子どもが圧倒的に多い。

高垣忠一郎『生きることと自己肯定感』

と述べられています。

条件付きのご褒美

条件付きの愛情

はまさに「よい子」であることの強要であり、自己肯定感を下げてしまうひとつの要因であると言えます。

まとめ

ということで今回は自己肯定感について考えてみました。

  • 自己肯定感はすべての子どもが持っているもの
  • わざわざ高める必要はない
  • 自己肯定感を下げない努力をする

参考になったらうれしいです!

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