妊娠中や出産後の友だちに会うと、
モンテッソーリ教育教えて~!
園や教室に通うのは早いけど、おうちでもできることあるの?
と聞かれることがよくあります。
そんなときは、限られた時間の中でできるだけ役に立ちそうなことを話しているのですが、知ってほしいことが多すぎて伝えきれていないので、今回、年齢別のモンテッソーリ教育の取り入れ方をまとめてみることにしました!
モンテッソーリ教育は特殊な教育方法ではなく、子どものこころとからだの発達をサポートすることを追求した結果生みだされたものです。
おうちでもできることがたくさんありますので、いいなと思うことがあればぜひ取り入れてみてください。
【0歳】お家でモンテッソーリ教育~お部屋づくりからおもちゃの選び方まで【前編】
【0歳】お家でモンテッソーリ教育~お部屋づくりからおもちゃの選び方まで【後編】
【1歳】お家でモンテッソーリ教育~お部屋づくりからおもちゃの選び方まで【前編】
【1歳】お家でモンテッソーリ教育~お部屋づくりからおもちゃの選び方まで【後編】
【2歳】お家でモンテッソーリ教育~お部屋づくりからおもちゃの選び方まで
【3歳】お家でモンテッソーリ教育~お部屋づくりからおもちゃの選び方まで
今回は0歳児さん前編ということで、誕生から5か月ごろまでの赤ちゃんを対象としたお部屋づくりやおもちゃの選び方についてお話ししていきます。
お部屋のつくりかた
生まれてから5か月ごろまでの赤ちゃんのお部屋づくりの大きなポイントは、寝る場所、授乳の場所、着替えの場所、運動する場所という4つのエリアをつくることです。
「4つのエリア」というと、「そんなにスペースないんだけど・・・」と思われるかもしれませんが、広いスペースがなくても大丈夫です!
というのも、4つのエリアをつくる目的は、「ここに来たらこれをする」ということを赤ちゃんが認識できるようにするためなので、広い場所でなくても、いつも決まった場所で特定の活動を行うことができれば良いからです。
「ここに来たらこれをする」という認識があれば、赤ちゃんは安心感を得ることができ、リラックスして毎日の生活を送ることができます。
ということで、4つのエリアについてそれぞれ紹介していきます。
寝る場所
まずは寝る場所についてです。
お母さんの布団で添い寝をしたり、ベビーベッドを使ったり、赤ちゃんが寝る場所には様々な選択肢がありますが、モンテッソーリ教育では赤ちゃんが自分専用の布団で寝ることが推奨されています。夜中の授乳もある時期なので、お母さんの布団の隣に赤ちゃん用の布団を設置してあげると良いと思います。
~寝る場所のポイント~
- 自分専用の布団であること
自分専用のものがあることは心の発達に良い影響を及ぼしますし、自分はこの布団で寝るんだという認識ができると、成長するにつれ、自然にひとりで寝ることもできるようになっていきます。
- 動くスペースがあること
まだ首が座っていない、あるいは寝返りもできない赤ちゃんであっても実はたくさん動き回ります。このとき、柵で囲まれたベビーベッドだと運動が妨げられてしまいますのでやはり布団を使うのがおすすめです。布団は赤ちゃん用のものだと120×70くらいのものが一般的ですが、シングルの布団を使っても良いと思います。
- 自分で出入りできること
ベビーベッドの場合、大人に抱っこしてもらわなければ出入りすることができません。しかし、布団であれば、眠たくなったら自分で布団のところに行き、目が覚めたら布団から出て活動するということができます。自分で出たり入ったりするのは、はいはいができるようになってからのことですが、誕生後すぐから布団を使うことで、いわゆる「セルフねんね」にもスムーズに移行することができます。
運動する場所
次に運動する場所についてです。
生まれたばかりの赤ちゃんは、吸啜反射・モロー反射といった反射運動で動いていますが、徐々に自分の意思で動けるようになっていきます。
0~5か月であれば、寝返りをしたり、うつ伏せになったり、腹ばいになったり手を伸ばしたりする姿が見られる時期です。
赤ちゃんの運動発達を支援するために自由に動ける場所を作ってあげましょう。
腹ばいは窒息死などの危険性があるため注意が必要ではありますが、運動発達の観点においては大変良いものです。しっかり目が届く家庭環境でこそぜひ取り入れたい運動です。
東京都助産師会さんの安全な腹ばいのさせ方についてのYouTube動画がとても参考になるので、リンクを貼っておきます。
~ 運動のエリアに設置するもの ~
- 運動マット
硬めのマットレスや布団、畳などを使うと良いかと思います。ふかふかしたものではなく、硬さがあってツルツル滑らないものを選びましょう。
- 鏡
マットと壁の間に設置するのがおすすめです。倒れることがないように裏側やサイドからしっかり固定しましょう!鏡は赤ちゃんが体全体を把握できるものがおすすめです。大人用の姿見を横に倒して置くとちょうどよいサイズになると思います。
- モビール
モビールは上から吊り下げてゆらゆら揺れ動く飾りのようなもので、赤ちゃんの視覚の発達を助けてくれます。新生児は15cm~25cmほど先までしか見えていないといわれていますので、遠すぎない位置に設置しましょう。
- 棚
月齢に応じたおもちゃをいくつか置いておくための棚も運動マットの近くに設置しましょう。赤ちゃんが手を伸ばして届くくらいの位置にあると良いかと思います。
発達に応じておもちゃを入れ替えることで、大きくなってからも使うことができます。つかまり立ちの練習にも使えるよう、しっかり重さがあるものがおすすめです。
↓ インスタで素敵な運動エリアをつくっている方を発見しました。 ↓
食事(授乳)の場所
続きましては、食事(授乳)の場所です。
授乳スペースにはゆったりと座ることができる椅子とオットマンなどがあると理想的ですが、お母さんと赤ちゃんがリラックスできて、いつも決まった場所であるいうふたつのポイントが抑えられていればOKです。
離乳食が始まってからも同じ場所で食事ができると心の安定につながるため、可能であればダイニングエリアを授乳の場所にしておくのもおすすめです。
小さいときから「何かを食べるときはここ」という習慣を作っていけば、少し大きくなったときに「ああ!ソファでアイスクリームを食べないで!」「ほら、カーペットの上にジュースを置いたらこぼれちゃう!」と慌てたり怒ったりする必要もなくなります。
着替えの場所
着替えのエリアでは、沐浴後の着替えやおむつ替えを行います。
脱衣所にスペースがあれば、そこにおむつ替え台を設置し、手が届く場所に綿棒・コットンなどケアに必要なアイテムを収納しておくのも良いと思います。
日本ではおむつ替え台を使う習慣があまりないため、家の中のどこか適当なスペースを探して着替えやおむつ替えを行うスタイルが多いですが、いつも決まった場所で行うのはとても重要です。
「ここに来たらこれをする」という認識ができると赤ちゃんは安心感を得ることができます。
1日に何度もおむつ替えをしているとついつい流れ作業のようになってしまいますが、着替えの時間は赤ちゃんとのコミュニケーションの時間でもあります。「おしりを拭くよ」「新しいおむつ気持ちいいね」と声をかけながらやさしく触れてあげましょう。大切に扱われていると感じることで自己肯定感を高めることにもつながります。
ということで、誕生から5か月ごろまでの赤ちゃんのお部屋づくりに大切な4つのエリアについてお話ししました。
ご家庭の状況によって、できること・できないことは様々だと思いますが、いつも決まった場所で特定の活動を行うというポイントをおさえていただき、赤ちゃんが安心して生活できる環境をつくってあげられると良いのではないかと思います。
おすすめのおもちゃ
次は、5か月ごろまでに使うおもちゃを紹介します。
運動のエリアでも紹介しましたが、モビールは上から吊り下げてゆらゆら揺れ動く飾りのようなもので、赤ちゃんの視覚の発達に役立ちます。
着替えのエリアに置いている場合もありますが、着替えのエリアのいちばんの目的は赤ちゃんとコミュニケーションをとるということなので、気持ちがそれてしまうのを防ぐためにモビールは置かないほうが良いという意見もあります。
- ムナリモビール(写真左上)
ご覧の通り白と黒の幾何模様のプレートとガラス玉でできているのがゴビモビールです。
色覚が発達する前のモノクロの世界で過ごしている生後3週間ごろまでの赤ちゃんにはぴったりのモビールです。完成品を購入することもできますが、自分でも結構簡単に作れます。
新生児の焦点距離は15cm~25cmほどと言われています。赤ちゃんがあまりモビールを見ていないなと感じたら距離を近づけてみると良いかもしれません。
- 八面体モビール(写真右上)
八面体モビールは、ホログラムペーパーなどのキラキラした素材で作られた八面体を異なる高さに吊り下げたモビールです。赤ちゃんの色覚の発達に合わせて、色の3原色である赤・青・黄色を使用します。
生まれてすぐはモノクロの世界を見ていた赤ちゃんも、生後2~3週間くらいから色を認識できるようになり、その後3か月ごろまでに大人と変わらないくらいの色彩感覚を手に入れます。
そのため、八面体モビールを使うのも3カ月くらいが目安とされています。
- ゴビモビール(写真左下)
ゴビモビールは赤ちゃんの視覚の発達の過程に沿ったモビールで、同じ色で濃淡が異なる刺繍糸で作られた球体が4つから8つほど並んでいるものです。
一番長い糸に一番濃い色の球を吊るし、だんだん薄い色になっていくように一直線上、あるいはらせん状に並べていきます。
球の色が薄くなるにつれて糸も2cmずつ短くなっているのがポイントです。
赤ちゃんが最初に認識できるのは一番長い糸の濃い球です。成長するにつれてだんだんほかの球が見えるようになっていきます。
作り方としては、発泡スチロールなどの玉に1.5cm程度の穴をあけ、その穴に刺繍糸を巻き付けていきます。絹の糸で作ると光沢があってとてもきれいな仕上がりになるのでおすすめです。
色は黄色、ピンク、青など好きなものを選んでいただいてOKです。
こどもの道具やさんで、手作りキットと完成品どちらも販売されています。
- ダンサーモビール(写真右下)
ダンサーモビールは紙製モビールの一種で、ホログラムペーパーなどのキラキラした紙のモチーフがついたモビールです。
ムナリモビールやゴビモビールの後、生後3か月くらいから使うので、赤ちゃんが手を伸ばして届くか届かないかぐらいの位置に吊るしてあげると運動発達にも役立ちます。
モチーフは、雪の結晶や熱気球、鳥やトンボなど好きなものを選ぶことができるので、インテリアとしても楽しめます。
銀は悪いものを避けるといわれており、銀食器やシルバーアクセサリーなど様々なアイテムがありますよね。
出産祝いのギフトとしてもティファニーや宮本商工の銀のスプーンはとても有名ですが、モンテッソーリ教育でおすすめしているのは銀のガラガラです。
その中でも特に、ネイティブアメリカンのナバホ族が作ったものが新生児にも最適なサイズと重さに設計されていると大人気です。
日本ではあまり販売されていませんが、海外の通販サイトEtsyなどで時々見かけます!
銀のガラガラは元々海外から伝わってきたものですが、日本の文化に根差したものとして、ひょうたんのガラガラもおすすめです。
ひょうたんを収穫して乾燥させただけなので完全な自然素材で、赤ちゃんが口に入れても安心です。小さいサイズのものであれば、握る動作ができるようになる生後3~5か月ごろから使うことができます。
円盤に切れ込みを入れて合体させたもので、軽く押すとパタパタパタと転がっていく動きがとても面白いです。
追いかける楽しさがあるので、ずりばいやはいはいを始めたころの赤ちゃんにおすすめです。
お部屋のつくりかた
ということで今回は0歳児さん前編ということで、誕生から5か月ごろまでの赤ちゃんを対象としたお部屋づくりやおもちゃの選び方についてお話ししました。
お部屋づくりの際にはぜひ、いつも決まった場所で特定の作業を行うということを意識していただき、赤ちゃんの運動発達を支援できるようなおもちゃを準備してあげられると良いのではないかと思います。
お部屋づくりとおもちゃの選び方は赤ちゃんの月齢ごとにシリーズでお伝えしています。
月齢が変わるごとに環境も変えていく必要がありますので、ぜひチェックしてみてください。
では今回はこのへんで失礼いたします。
【0歳】お家でモンテッソーリ教育~お部屋づくりとおもちゃの選び方【前編】
【0歳】お家でモンテッソーリ教育~お部屋づくりとおもちゃの選び方【後編】
【1歳】お家でモンテッソーリ教育~お部屋づくりとおもちゃの選び方【前編】
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