こんにちは。モンテッソーリ教師のさちこです。
私は普段からできる限りニュースを見ない、あるいは読まないようにする、ニュースダイエットを意識しているのですが、妊娠中はこれをさらに強く意識するとともに、ニュースだけでなくSNSやネットサーフィンについても“ダイエット”をすることを心がけています。
なぜなら、妊娠中はこれまで自分の経験したことがない変化やトラブルを経験するため、誤った情報を鵜呑みにしてしまったり、ネガティブな情報に触れてさらに不安になったりといったことが起こりやすいからです。
実際、NTTドコモが2018年に実施した調査によると妊娠中の不安や悩みの解消のために、ネットサーフィンをする時間が妊娠前と比べて増えた人は、なんと92.1%にも上るということが明らかになりました。
そして26.8%、およそ4人に1人がネットサーフィンを行った結果悩みが増えたと回答しています。
悩みを解決しようとネットで検索して、さらに悩みが増えてしまっては本末転倒ですよね。
ニュースダイエットとは
ニュースダイエットとは、ロルフ・ドベリ氏の著書『News Diet』(サンマーク出版, 2021)で注目を集めた言葉です。
ニュースを生活から完全に排除する、ニュースフリー生活を目指したもので、「情報があふれる世界で、よりよく生きるための唯一の方法」とドベリ氏は言います。
ロルフ・ドベリ氏は、令和元年に最も売れたビジネス書 (honto調べ) 『Think clearly』の著者であり、実業家でもあります。彼の著書は40以上の言語に翻訳出版され、累計発行部数はなんと300万部を超えています。
もし普段、Yahoo!ニュースやLINEニュース、スマートニュースなどを何気なく見てしまうという方がいらっしゃれば、是非一度読んでみてください。
- ニュースがアルコールと同じくらい危険な理由
- ニュースはあなたとは無関係である
- 脳はどぎついニュースに過度に反応する
- ニュースは時間の無駄である
- 情報量が多いほど人は自信過剰になる
- ネガティブなニュースは心配事を深刻化させる
- ソーシャルメディアは見たいものしか示さない
- ニュースは私たちを受け身にする
- インターネット上の50%以上はフェイク
- ニュースはテロリズムを助長する
SNS・ネットサーフィンもダイエット
『News Diet』では、ニュースを生活から排除することの意義について述べられていますが、これはSNSの閲覧やネットサーフィンについても同様に考えることができます。
アンデシュ・ハンセン氏の著書『スマホ脳』ではSNSが私たちの脳に及ぼす影響について最新の脳科学研究で明らかになったデータをもとに語られています。
- ニュースがアルコールと同じくらい危険な理由
- スマホは私たちの最新のドラッグである
- 人間の脳は悪いうわさが大好き
- 人生の数年がフェイスブックに吸い取られる
- SNSが女子に自信を失わせる
- フェイクニュースが広まるメカニズム
スマホ脳(新潮新書)
『News Diet』と『スマホ脳』を読むと、ニュースとSNSは共通して
- アルコールやドラッグと同じくらい悪影響がある
- フェイクが多い
- ネガティブな内容に注目してしまう
- 時間を奪う
という特徴があるということが理解できます。
不安解消のため情報を集めようとしてさらに不安に
実は私も以前、妊婦検診で助産師さんから体重の増加を指摘され不安になり、妊娠中の体重増加についてインターネットでたくさん調べたことがありました。
なんと、前回の検診から2週間で1.5㎏も増加していました。
妊婦検診からの帰るバスの中、スマホで「妊娠 体重」と検索してみるとGoogleやChatGPTが大量の情報を提供してくれました。
しかし、体重が増加することについて、肯定的な意見もあれば否定的な意見もあり、気にしてストレスをためるのがいちばん良くないという意見までありました。
日本の「妊婦の厳しい体重管理」の基準が変わったワケなぜ妊婦の体重制限が危険なのか?
また、体重増加の数値的な目安についてもWebサイトの情報や医師の見解にバラつきがあるため、結局どれを信じたらいいのかわからず余計不安になってしまいました。
信頼できる情報源を確保しておく
こんなとき、ネットの海に溺れないために、信頼できる情報源を確保しておくことはとても重要です。
私は、インターネットで情報を入手することを諦め、家に帰って、信頼している本を開いてみました。
汐見稔幸先生監修の『はじめて出会う 育児の百科』です。
妊娠中の情報収集におすすめの1冊『育児の百科』
育児の百科といえば、累計発行部数183万部を超える松田道雄先生の『定本 育児の百科(上・中・下)』が大変有名ですが、
定本育児の百科 (岩波文庫)〔全3冊セット〕
この百科を現代的にアップグレードし、さらに多くの知見を加えたものが汐見先生の『はじめて出会う育児の百科』であるといえます。
50年前の「育児書」今も支持される理由は|NHK NEWS WEB
汐見先生の百科の素晴らしいところは
- 様々な分野の専門家の知識や視点が入っている
- こころとからだとことばの発達をリンクさせて考えられている
- 子どもファーストの視点で書かれている
ということです。
一般的に育児書といえば、SNSで人気の子育てのスペシャリストや有名な小児科医が単独で書いたものが多く、知識や視点が偏りがちです。
しかし、この育児の百科は心と体、そして言葉の発達を三位一体のものとして捉え、様々な分野の専門家が参加して編纂されています。
また、子どもが伸びようとする力を支えるということを基本に考えているため、「こうすべき」という教科書的な書きかたをされていることもなければ、親の立場を優先して書かれているということもありません。
子育て中のお父さん、お母さんにはもちろん、妊娠や出産のお祝いの贈り物としてもおすすめの1冊です。
ネットの情報よりも良質な本からの情報を
本当に重要なことは、良質な本からもたらされる。
『News Diet』ロルフ・ドベリ
『はじめて出会う 育児の百科』は、0-6歳と書いてありますが、妊娠期間もしっかりカバーされていて、この本を読んでいると、まるで、病院の先生やカウンセラーさんと対話をしているかのような気持になります。
妊娠中の体重については、Q&A形式で記載がありました。
体重が増えすぎないように気をつけたいのですが。
妊娠中の体重増加は妊娠中毒症や糖尿病になりやすいうえに、お産が長引いたり、産後の回復にも影響が出てくることがあります。体重増加の目安は妊娠前の体重が標準体重の人は8~12kg以内、太めの人は7~8kg以内、痩せ気味の人は12~13kg以内といったところです。
体重管理のポイントは食生活と適度な運動です。
また、こんなQ&Aもありました。
食欲を抑えることができません。
赤ちゃんの分も食べなくては、というのは栄養状態が良くなかった頃の妊婦さんの話。
1日に必要なエネルギー量は妊娠前と比べてあまり違いません。朝昼夜の食事をきちんと取り、毎食ゆっくり時間をかけて食べるようにしましょう。良質のタンパク質と野菜たっぷりのメニューを油っこいものは甘いものは控えめにしましょう。
(中略)
ずっと家にいる生活だとつい口寂しくなり間食も増えがちです。体調と相談しながら趣味や散歩など上手に気分転換しながら過ごしましょう。
そういえばここ最近、甘いものをたくさん食べていたし、その影響で3食のどれかを抜いていることも多かったと反省しました。
また、ずっと家にいると口寂しくなって間食をしたくなるというのもご指摘の通りです。
信頼している情報は、耳が痛い内容であっても素直に聞き入れられるというのも大きなポイントですね。
ニュースダイエットでネットの情報に踊らされない妊婦生活を
私たちは、世界中のありとあらゆる情報を手に入れられるとても便利な時代に生きています。しかし、洪水のようにあふれる情報に振り回されているのもまた事実です。
日常生活はもちろん、不安な気持ちになりやすい妊娠中は特にネットの情報とうまく付き合っていくために、これからもニュースダイエットを続けていきたいと思います。