【モンテッソーリ教育の基本理念】発達の4段階とは?

みなさんこんにちは!

モンテッソーリ教師のさちこです。

今回解説する発達の4段階は、モンテッソーリ教育の環境づくりやクラス編成の際の基準となっている重要な枠組みです。

長年にわたって子どもたちを観察したマリア・モンテッソーリは

  • 子どもたちにはそれぞれの発達段階がある
  • 発達の段階が変わると、新たに生まれ変わるかのように全く違った存在になる

という2つの点に注目し、0歳から24歳までの期間を4つの段階に分類しました。

ちなみに、こちらのカミロ・グラッツィーニという方は、マリア・モンテッソーリの息子マリオ・モンテッソーリとともにエレメンタリー(6~12歳)を作った人物です。

定義

マリア・モンテッソーリが人間の発達に一定のリズムがあるということを発見したことは先に述べた通りですが、その分類は以下の通りです。

  1. 乳幼児期(0~6歳)
  2. 児童期(6~12歳)
  3. 思春期(12~18歳)
  4. 青年期(18~24歳)

このように、人間がひとりの成人として自立するまでの過程を4段階に分け、各年齢期の身体的・心理的発達に合わせた教育を行うことが重要であると説きました。

こちらの図は4つの発達段階を表したものです。

第1段階:乳幼児期 INFANCY 0-6

驚くほどのパワーで自分をとりまく環境の全てを吸収していく時期

第2段階:児童期 CHILDHOOD 6-12

知的敏感期に入り、宇宙のように広い現実、世界を吸収したい時期

第3段階:思春期 ADOLESCENE 12-18

心も体も、大人へ向かって激しく変化していく時

第4段階:青年期 MATURITY 18-24

精神的・身体的に安定し、自分の職業や専門分野に目覚める時期

ちなみに・・・

図は白黒になっていますが、発達の第1段階と第3段階は赤色、発達の第2段階と第4段階は青色で表されていることもよくあります。

これは、赤色の第1段階と第3段階ではとても大きな変化があること、第2段階と第4段階では安定していることを表現するための色分けです。

4段階の主な特徴

それぞれ異なる発達課題を持つ

例えば0~6歳の第1段階では言語を習得するという発達課題がありますが、第2段階(6~12歳)になると、言語は既に習得しており、今度は集団行動など別のスキルを学んでいくことが発達課題として登場します。

各段階の最初で生まれ変わる

生まれ変わるというのは、蝶があおむしからさなぎになり、成虫になるような劇的な変化のことを表しています。

0歳、6歳、12歳、18歳の各段階で、あおむし→さなぎ→蝶のようにそれぞれ異なる性質をもった存在になっていきます。

各段階が次の段階の準備期間になる

各段階で習得すべきものを習得することで、それを土台にして次の段階へスムーズに移行することができます。

例えば、0~3歳で話しことばを習得し、3~6歳くらいで書きことばを習得します。それによって6~12歳では読み書きができるようになり、その後、本や教科書を読んだり、ノートを書いたりすることでたくさんの知識の習得が可能になっていくというわけです。

家庭で両親や兄弟が文字を書いている様子を見て育った子どもは、4歳くらいになると自然と字を書きたいと思うようになり、自分で進んで習得していくものですが、例えばオオカミに育てられた子のように、字を書く環境がなく育った子どもはスキルを自然に吸収できる期間を過ぎてしまうため、意図的に努力して習得しなければならなくなってしまいます。

あわせて読みたい吸収精神

普遍性がある

子どもたちに見られる4つの発達段階は国や地域、文化に関わらず共通しているものです。人間は一人ひとり個性を持っていますが、発達段階や各段階における発達課題は共通しています。

マリア・モンテッソーリは精神科の医師であったため、発達心理学についても良く理解していたわけですが、発達心理学を学ぶと、子どもたちをより深く理解することができるためおすすめです。

吸収精神や敏感期などのモンテッソーリ理論は、発達心理学に深く関連しています。

発達心理学を学ぶ場合、本を読むのが好き、活字に慣れているという方であれば、以下の本がおすすめです。最新の科学的エビデンスをもとに乳児期から青年期までの発達を体系的に学ぶことができます。

もっと手軽に、ベーシックな情報を手に入れたい場合には、以下の本がおすすめです。ページ数も発達心理学ガイドブックの半分程度ですし、コラムもとても興味深く、サクサク読み進められます。

類似性がある

次にあげられる発達の4段階の特徴として、類似性があるということが挙げられます。

前出の三角形の図でも説明しましたが、0~6歳の第1段階と12~16歳の第3段階においては大きな変化を経験し、6~12歳の第2段階と16~18歳の第4段階では穏やかな安定した時期を過ごすことができるという類似性があります。

第1段階と第3段階の分割

第1段階と第3段階は前半と後半にわかれ、それぞれに特徴があります。

第1段階では0~3歳と3~6歳に分かれ、第3段階は12~15歳と15~18歳に分かれています。

詳しい内容についてはそれぞれの発達段階で紹介しています。

あわせて読みたい:第1段階

あわせて読みたい:第3段階

伝統的な教育との考え方のちがい

マリア・モンテッソーリがローマで講義を行った際に使用した球根の図というものがあります。

この図はそれぞれの発達時期のエネルギー量や変化の大きさを視覚的にあらわしたものなのですが、6歳ごろまでは赤と黒のマグマのような色で大きく描かれており、この時期の子どもたちはみなぎるエネルギーを持っているということ、そして非常に大きな変化を経験するということがわかります。

特に、黒で塗られている0歳より前の部分(胎児期)は、細胞分裂を生じて全身の形を変えながらたった10か月ほどで自分の脳と体を作り上げていく計り知れないほどの大きな変化を表しています。

一方、球根の図の下には伝統的な教育を図式化したものが描いてあり、6歳ごろまでの時期が細い点線で示されています。これは6歳以下の子どもが知識を求めていない、あるいは習得する能力がないかのような構図となっていて、0歳から6歳の時期をとても重要だと考えているモンテッソーリ教育とは対照的なものといえます。

まとめ

発達の4段階はモンテッソーリ教育の基本の枠組みとなるもので、子どもたちにより良い環境を提供するためには必ず理解しておきたい理論です。

今回は発達の4段階の全体像をお話ししましたが、それぞれの段階については別記事で詳しく解説しています。

ぜひあわせてご覧ください。

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