【モンテッソーリ教育の基本理念】敏感期とは?

こんにちは、あるいはこんばんは!

モンテッソーリ教師のさちこです。

今回のテーマは「敏感期」

ということで、モンテッソーリ教育の基本理念の中でも特に重要で、子どもの発達を理解する上で欠かせない敏感期をご紹介します。

敏感期の考え方を知ると、それまで「なぜ?」「どうして?」と理解できなかった子どもたちの行動が、「あ、そうだよね!」と納得できるようになっていきます。

また、敏感期を知ることで、子どもにとって一番良い時期に、学習や運動の機会を提供することもできるようにもなります。

それでは、そんな敏感期について、考えていきましょう!

基本的な考え方

「敏感期」という言葉は一般的に、あまり聞きなじみのない言葉かもしれません。

しかし、敏感期はモンテッソーリ教育を語る上で欠かせない、重要な理念です。

元々英語では Sensitive periods と呼ばれており、これが日本語に翻訳され、敏感期と呼ばれるようになりました。

敏感期とは、読んで字のごとく敏感な時期のことで、様々な物事に対して感覚が鋭くなる時期のことを指しています。

そして、この敏感期には、運動・言語・文化など、いくつかの種類があります。

どの敏感期も、生まれてから中高生くらいまでの間に出現するのですが、それぞれの時期に、ある特定の物事に対して過敏に反応するため、周りの大人は理解できず困ってしまうことがあります。

うちの子、最近こだわりが強くて大変なのよ~。

何かちょっとしたことでも、いつもと違うことがあるとギャン泣きしてる。

実はそれも、敏感期の特徴です!

敏感期は、対応する大人にとってはちょっぴり大変で、うまく対応していくためには事前の知識や細やかな配慮が必要なものですが、一方で敏感期の子どもたちにとっては、普通なら見過ごしてしまうような情報をキャッチして、学習や習得の機会になる素晴らしい時期でもあります。

「機会の窓」とも呼ばれるこの限られた時期をぜひぜひ活用していきましょう!

敏感期の語源と歴史

敏感期という言葉は元々、オランダの植物・遺伝学者ヒューゴ・ド・フリースが使っていた言葉でした。

彼は、生まれたばかりの蝶の幼虫は固い葉を食べることができないため、柔らかい新芽を食べようと枝の先まで移動するということを観察から見て取りました。

そしてその時には、光を頼りにしている、つまり、光に敏感に反応しているということを発見したのです。

ヒューゴ・ド・フリースは蝶の幼虫が光に対して鋭い感覚を持っているということ、そして、それは成長とともに消えていくということを発見し、これを「敏感期」と呼びました。

生まれて間もないころの幼虫が、光を追い求めるように、枝の先端に向かがって移動する特性は光に対する敏感期ともいえるでしょう。

幼虫がだんだん大きくなり、固い葉も食べられるようになると、光に対する特別な感受性は失われ、様々な方向に動き回るようになります。

敏感期という言葉を知ったマリア・モンテッソーリは、これは蝶の幼虫と同様に、人間の子どもにもみられるものであると考えました。

マリア・モンテッソーリが敏感期という言葉を使うようになったのは1920年ごろで、以来、モンテッソーリ教育の中核をなす理論となっています。

多くの人が、モンテソーリによる最も価値の高い、しかもユニークな教育界への貢献は敏感期の原理そのものであると考えました。

モンテソーリによる、人間の発達に見られる敏感期の研究、それらの生物的な役割の認識、誕生から思春期まで子どもが通る連続的な段階の解説、とりわけこれらの知識によって教育問題全体にあてられた具体的な光、これらはみな教育の分野に新局面を開いたのでした。

E.M.スタンディング『モンテソーリの発見』

要するに、モンテッソーリが「敏感期」の理論を発見したことで、教育界の子どもの見方が変わったということですね。

6歳までの敏感期

敏感期は中学生~高校生くらいまで続いていくものですが、発達の第一段階と呼ばれる0~6歳までの期間には最も多くの敏感期が見られます。

それでは、それぞれの敏感期の特徴をご紹介していきます。

① 言語に対する敏感期

言語に対する敏感期は、いくつかある敏感期の中でも特に期間が長いもので、胎生7カ月から5歳ごろまで続いていきます。

お母さんのおなかの中にいるときから始まっているなんてびっくりですね!

胎生7か月ごろになると赤ちゃんの脳はある程度形成され、記憶ができるようになります。

実はそれ以前も音は聞こえているのですが、海馬の発達により記憶が始まるのは7か月頃です。

このころから赤ちゃんは音に敏感に反応し、母親の話し声や音楽を聴いて、言語というよりは音の集合体としてとらえはじめます。

臨月近くになると、お母さんのおなかの皮膚が薄く伸びてきて、音はよりクリアに聞こえるようになります。

このころになると母親の話し方やリズム、イントネーションといった言語的要素を学び始めるのです。

生まれる前、そして生まれてからも赤ちゃんは周りの環境にある言葉をどんどん覚えていきます。

話し言葉の敏感期

話し言葉の敏感期は2歳ごろみられるもので、言語の爆発期と重なります。

言語の爆発期は一般的に「語彙爆発」「おしゃべり期」と呼ばれることもあり、それまでたくさんの言葉をインプットした赤ちゃんが急激にアウトプットを始める時期のことを指します。

この時期の子どもたちは「あれなに?」「これは?」といったように、ものの名前を知りたい!という気持ちが強く出てきます。

そのため、絵本や図鑑を読んだり、動物園や水族館に行ったりして、たくさんのものの名前を知る機会を用意してあげるのがおすすめです。

ちなみに

近年は、テレビを見たり、スマホでYouTubeを見たりといったスクリーンタイムが長く言葉の発達が遅れてきているといわれていますが、多少の前後はあっても、2歳半から3歳までの時期が話し言葉の敏感期といえます。

書き言葉の敏感期

4歳の誕生日を迎えるころ「書きたい」という欲求が大きくなってきます。

字を書くということが楽しくなる時期なので、この時期に書き言葉を学ぶ環境があれば、子どもは楽しみながら学習を進めることができます。

一般的には、小学校になって本格的に文字を学びますが、書き言葉の敏感期が4歳の誕生日のころであることを踏まえると、少し遅いのではないかと思います。

もちろんこの時期から学べないことはありませんが、自分の「書きたい!」という欲求に基づいて、楽しみながら学べる時期があるのであれば、その時期を活用しない手はありません。

「好きこそものの上手なれ」ですね!

モンテッソーリの環境では3歳半ごろ砂文字版とよばれる教具を使い始め、その後、移動五十音などに発展していきます。

砂文字板:文字の部分だけザラザラした手触りになっています。

移動五十音:文字を並べて単語をつくります。
MEMO

砂文字板は文字を書く活動の最初の教具として位置づけられていますが、子どもたちはこれより前の段階で、感覚教具の幾何タンスや文化教育の活動の葉のたんすで図形や枠をなぞる動きを経験しています。

実は、これらの活動は文字を書く活動の事前準備的な役割も果たしているのです。

読み言葉の敏感期

読み言葉の敏感期は4歳半から5歳ごろといわれています。

「あ」「い」「う」「え」「お」といった記号と音だけであればもっと早い段階で理解できているのですが、読み言葉の敏感期を考える場合の「読み言葉」は文字を読むことで言葉の意味を理解できている状態を指しています。

そういえば、もうすぐ5歳になる娘が3歳の弟に読み聞かせをしている様子を最近よく見かけます。

読み言葉の敏感期ですね~!

ちなみに、音読ができるようになると、次第に黙読もできるようになっていきます。

こちらも参考に

ベネッセ教育総合研究所が母親544人を対象に行った追跡調査によると、「かな文字を読める」割合は、年少児(3歳)=66.8%、年中児(4歳)=88.1%、年長児(5歳)=97.2%でした。

出典:幼児期から小学1年生の家庭教育調査

② 数の敏感期

数の敏感期は4歳から4歳半ごろと言われています。

2歳くらいの子でもお風呂の中やかくれんぼなどの遊びの中で、数字を10まで数えることができる子はたくさんいますが、こういった場合、「1~10まで数える」というのは名詞を読んでいるだけであり、数の概念を理解しているわけではありません。

数の敏感期では、数の概念を理解するというのがポイントです。

3歳から6歳の子どもたちを対象にしたモンテッソーリ教育の教具に、銀行ゲームというものがあるのですが、これはビーズや数字カードなどの具体的なものを使い、数量・数詞・数字という三者関係の一致をサポートします。

一般的な学校教育で行われる計算プリントはちがい、目で見て、触れて、楽しみながら数の概念の理解を深めていくことができます。

銀行ゲームの様子を知りたい方は以下の動画をチェックしてみてください!

③ 秩序の敏感期

秩序の敏感期は誕生から6歳ごろまで続いていくものなのですが、生後18か月から24か月ごろにとても強く特徴が現れます。

生後18か月から24か月ごろといえば、子育てで悩まれる方が多い例のあの時期と同じですよね?

なんだかわかりますか?

そうです!

あのやっかいなイヤイヤ期です。

イヤイヤ期の様々ないやいやは、子どもが自分の影響力を確認しようとしている側面もありますが、この秩序の敏感期によって引き起こされている場合も多くあります。

秩序の敏感期にある子どもたちは、いつもと同じ位置に同じものがあるか、手順や順番は同じか、活動の時間帯が同じか、といったことを非常に重要視しています。

毎日同じルーティンで過ごすことに心地よさを感じる時期ですので、秩序感のある環境を整えてあげることで、いやいやを減らしていくことができます。

イヤイヤ期に直面しているお父さんお母さんは「なんでうちの子はこんなにこだわりが強くて言うこと聞いてくれないの?」という思いを抱えている方はとても多いものですが、この秩序の敏感期という子どもの特徴を理解しておくことで、上手に対応していくことができるのではないでしょうか。

④ 小さいものに対する敏感期

1歳半から2歳ごろの子どもたちに訪れるのが、小さいものに対する敏感期です。

この時期は小さいものをピックアップするのに長けていて、道端の小石や雑草、部屋の中のほこりやパンくずなどごく小さなものにとても敏感に反応します。

1歳児さん、2歳児さんクラスの子どもたちはアリの観察が大好きですね。

この時期に、小さなものを見たり、それらに触れたりした経験は子どもたちがこれから出会うさまざまなものを理解する基礎となっていきます。

対象物となる小さなものが、石ころ、あるいは糸くずなど大人にとっては取るに足りないものでも、この時期の子どもたちにとっては強烈に興味を惹かれる宝物です。

大人は誤飲やケガなどの危険性がないか、周りの環境の細かい部分にまで配慮する必要はあるのですが、その一方で子どもが小さなものを観察したり、五感で感じたりする機会を大切にしてあげましょう。

⑤ 感覚の敏感期

感覚の敏感期では、味覚・触覚・視覚・嗅覚・聴覚の5つの感覚を発達させていきたいという本能的な欲求が生まれます。

ここまでお話ししてきた言語の敏感期や小さいものに対する敏感期なども五感を使ったものですが、これら以外にも、3歳ごろまでの敏感期は五感を使うものがたくさんあります。

近年では、タブレット端末での学習も盛んにおこなわれていますが、スクリーンで学ぶというのは視覚と聴覚に限られてしまうのであまりおすすめできません。

獲得期

子どもが感覚的認知を獲得し、自分なりに咀嚼、理解する時期で、誕生から3歳くらいまでと考えられています。

この時期、子どもたちの味覚や視覚、聴覚、嗅覚、触覚といった感覚機能はぐんぐん発達していきます。発達した感覚機能を環境にあるもの全てを、五感を使って吸収し、そこで得たイメージを咀嚼していきます。

このときに取り込まれた認知がその子どもを作り上げる人格の一部、人間性となっていくのです。

洗練期

3歳ごろまでに習得した感覚を分類したり、自分の中に落とし込み、整理整頓したりする時期のことで、5歳ごろまで続きます。

ピンクタワー雑音筒が代表的な教具です。

ピンクタワー:大きさの順番を判断する(大小を感覚的に学ぶ)ことで視覚が洗練される

聴覚(雑音)塔:異なる音を聞き分け、グレーティングしていく。

⑥ 社会性の敏感期

社会性の敏感期が訪れると、人間社会の一員として生きていくのに欠かせない社会性を身につけたいという欲求がうまれてきます。

これは3歳半から6歳の幅広い期間に現れるもので、誕生時には何の文化も持っていない子どもたちが、だんだんとお辞儀、握手、ビズといった国や文化によって異なるさまざまな社会的なコミュニケーションの方法を吸収し、その社会に適応していきます。

この社会的なコミュニケーションの方法、つまり、品位や礼儀の習得は誕生の瞬間から始まっているものですが、社会性の敏感期を考えるにあたっては「挨拶ができる」ということを基準に考えているため、おおよそ3歳半から6歳ごろが敏感期であるとされています。

MEMO

社会性の習得は周りの環境や個人の性格による差が大きいため、もちろん、3歳半よりもずっと早い時期から「挨拶をしたい!」という気持ちを持つ子どもたちもたくさんいます。

挨拶に興味が出てきたなと感じたら、いろいろな国や地域の挨拶について、本や映像などで一緒に学ぶのもとっても素敵ですね!

⑦ 離乳の敏感期

離乳の敏感期というものもあります。これは消化機能が発達する5~6か月ごろといわれています。

離乳食はいつ始めたらいいの?とよく聞かれることがありますが、大人が食事する姿を見て、よだれを垂らしている様子はとてもわかりやすい離乳のサインです!

離乳の時期は、お母さんとの距離を取り、社会へ加わっていく第一歩を踏み出す時期です。

まずは母乳と併用しながらおかゆ、あるいは野菜の汁や果物の果汁などから食べ始めてみましょう。

このころは同時に唾液の分泌が増えたり、歯ぐずりを始める時期でもあるので、堅パンのような固い食べものを子どもの手に持たせてあげて、なめるところから始めてみるのもおすすめです。

「歯ぐずり」とは

「歯ぐずり」とは、乳歯が生え始めるときに感じる歯茎のむずむず感を解消するために、赤ちゃんが自分の指やおもちゃなどを口に入れてかみかみする行動のことです。

この時期の赤ちゃんは、何でも口に入れてしまったり、歯茎がむずむずする不快感で機嫌が悪くなったりするので、口に入れても安全な歯固めを使ってイライラを解消してあげるのがおすすめです。

モンテッソーリ教育はイタリア発祥なので、よく、ピザの耳あるいはハード系のフランスパンがいいと本には書いてありますが、日本で実践するなら断然くろがね堅パンがおすすめです!

福岡県北九州市の名産品で、よくそのカタさが話題になる商品なのですが、離乳の時期の歯固めにも使えるし、お子さんが大きくなれば、おやつとして、噛む力を鍛えるトレーニングもできます。

また、賞味期限がなんと製造日から5年 ということで、非常食として備蓄しておくのにもぴったりの商品です。

ホームパーティでも話題作りのひとつとして重宝するかも(笑)

⑧ 運動の敏感期

お次は運動の敏感期です!

子どもってあれだけずっと動いているんだから、そりゃあ動きたい!っていう気持ちがあったり、動きに対して敏感に反応して当然ですよね。

運動の敏感期は誕生から4歳半ごろまでと言われており、それぞれ獲得期と洗練期に分類されます。

獲得期

獲得期は誕生から2歳あるいは2歳半ごろまでの期間です。

最初はただあおむけに寝て、手足を少し動かすだけだった赤ちゃんは、次第に寝返りをするようになり、ずりばいやはいはいが始まると自分の意思で動くようになります。

筋肉や骨が発達し、自分の身体を支えられるようになると、ひとり座り、つかまり立ち、ひとり歩きといった運動能力を獲得していきます。

2歳前後のお子さんが重たいカバンをひとりで持ちたがったり、歩道の縁石の上をバランスを取りながら歩いている様子はみなさんもよく見かけるのではないでしょうか。

そんなとき、「この荷物は重いからママが持つよ」「縁石は危ないから登らないで」といった声かけをすることがあるかもしれません。

しかし、重たいカバンを持ったリ、縁石を歩いたりしている子どもたちは、重い物をもって歩いたり、狭い足場を歩いたりすることでバランス感覚を養ったり粗大運動を強化したりするための練習をしているところです。

こんなときは、この素晴らしい練習をストップさせてしまう前に、安全に続けさせてあげることができないか、考えてみると良いのではないかと思います。

例えば、重たい荷物を持つと全然前に進まないので帰るのが遅くなってしまうというのであれば、おうちで洗濯物が入ったかごを運んでもらったり、時間がある休日に、公園まで荷物を運んでもらったりすることもできます。

縁石は歩いてほしくないのであれば、おうちあるいは公園などで線上歩行をするのもおすすめです。

また、この時期の子どもは、バランス感覚などの粗大運動と同様に微細運動の発達にも敏感です。

成長とともに、子どもたちの手の筋肉が強化されていき、この時期に手と目を連動させて行う活動を繰り返すことで、細かい運動能力も発達していきます。

生まれたばかりの赤ちゃんは、把握反射でしか何かを手でつかむことができませんが、1歳ごろになると、親指と人差し指の2本指でつまむことができるようになります。

運動の獲得期の大人の心構えとしては、

  • 興味を持ちそうなものをまわりに置いておく
  • 自由に動ける空間を用意する
  • 過度に危険を心配して行動を制限しすぎない

といったところが大切になるのではないかと思います。

洗練期

獲得期が終わると、2歳半ごろから4歳(4歳半)ごろまで、運動の洗練期がやってきます。

この時期は、2歳半ごろまでに獲得した運動を定着、発展させていく時期です。

獲得期では編み物の棒に毛糸を通すような作業で精一杯だったこどもたちでも、これが洗練期になると、針の穴に糸を通すような細かい作業もできるようになります。

このようにして微細運動の幅がどんどん広がっていくので、はさみを使ったり、折り紙を折ったりといった活動が上手にできるようになっていきます。

粗大運動を発達させる鉄棒や雲ていも、獲得期ではただぶら下がることしかできないものですが、洗練期になると、前に進んだりひとつ抜かしをしたり、後ろに進んだりと様々な運動ができるようになっていきます。

スキップやちょっとしたダンスなども習得するのに最適な時期といわれています。

6歳から12歳までの敏感期

ここまでは、誕生から6歳までに現れる敏感期についてお話ししましたが、お次は6歳から12歳、ちょうど小学生の時期に現れる敏感期を見ていきたいと思います。

文化の敏感期

まずは、文化の敏感期です。

地理、音楽、言語など文化的なもののすべてに関心を持つ敏感期といわれています。

言語の敏感期はすでに出てきましたが、6歳で一旦言語の敏感期が終わり、その後は他言語の敏感期に入っていきます。

英語はいつから習わせるのが良いかという議論はよく目にしますが、この文化の敏感期を考えると6歳以降というのがひとつの解になってくるのではないかと思います。

こちらも参考に

赤ちゃんの聴覚は、妊娠6カ月頃から発達し始め、お腹の外の音や話し声を聞けるようになります。生後1歳くらいで意味のある単語を話し始め、2歳になると操れる単語数が爆発的に増え、5歳までには母語の基礎ができあがります。
6~7歳の頃には、聞いた言葉を文字と結びつける「マッピング」が徐々に起こり、10歳頃になると母語を使って抽象的な思考ができるようになります。

参考:避けるべきは「セミリンガル」。間違いだらけの語学教育

言語の敏感期は言語学習に最適な時期であるため、3歳未満といったかなり早い時期から英語学習をさせる親御さんがたくさんいらっしゃいますが、親が母国語としていない言語を子どもに学習させる場合、セミリンガルになってしまう危険性が高まるので、全くおすすめはできません。

セミリンガル・英語の早期教育の危険性について、経済評論家の勝間和代さんがとても分かりやすく動画にまとめていらっしゃるので、ぜひ見てみてください!

集団行動の敏感期

6歳から12歳と言うと、日本ではちょうど小学生の1年生から6年生までが当てはまります。

この時期のこどもたちは、集団行動の敏感期にあり、友達と集団で行動して、自分の存在を確認します。

みなさんも、子どものころ近所の公園に集まって遊んだり、秘密基地をつくったりした経験があるのではないでしょうか。

友達と集団で遊ぶ時間は子どもの発達に欠かせないものです。

遠方への通学や、都市部に学校がある場合など、子どもだけで時間が作れない場合には親同士で協力して、環境を作ることができるといいですね。

発達心理学の分野でよく耳にするギャングエイジもこの敏感期に含まれます。

ギャングエイジとは

小学校3~4年生のころ、特徴的な仲間関係を持つ時期のことを指します。

同性の同年齢児で構成され、排他性閉鎖性が強いといわれています。 また、同一行動による一体感が重視されたり、力関係による役割分化があったりする特徴があります。

こういった特徴は、グループメンバーと強く結び付くことで親から自立しようとする際に生じる不安を和らげていると考えられています。また、ギャンググループでの活動を通して、適切な自己主張の方法や、ルールを守るなどの、社会生活に必要なさまざまなスキルや知識が習得されるというメリットもあります。

しかし、現代では

・核家族化・少子化

・塾や習い事による遊ぶ時間の減少

・都市化に伴う遊び空間の喪失

・スマホ・テレビゲ ームの普及

といった子どもを取り巻く環境の変化により、地域の仲間集団は解体され、ギャンググループは消滅したとも言われています。

そのため、現代の子どもたちは、 昔の子どもが仲間集団のなかで学んだことが学べなくなってきており、仲間関係の形成、や発展に大きな困難を抱える子どもが多いことも指摘されています。

参考:小学生における仲間集団(ギャンググループ)形成の特徴とその役割

社会道徳の敏感期

善悪にとても敏感になり、道徳観や倫理観を発達させる時期のことを指します。

「不公平だ!」という気持ちが出てくるようになり、平等性について考えるようになるのが特徴です。

 道徳判断の発達理論

道徳判断の発達理論は、心理学者ピアジェの研究を引き継いだコールハーグが唱えた6段階と、ダモンとセルマンによる0段階を合わせたもので、0段階(4歳ごろ)から6段階(成人期)までの道徳心の発達を表しています。

社会道徳の敏感期は6歳から12歳ということで、道徳発達の2段階と3段階に当てはまります。

2段階:小学校低学年

このころは自分が損をしていないかを考えるようになるため、「お手伝いをしたからお小遣いがもらえる」というように、自分の行動の損得が道徳判断になります。この段階の子どもは、友だちとの喧嘩において、自分が殴られたから殴り返すという道徳判断をする傾向があります。これはつまり、相手からやられたら同じように仕返ししてもいいと判断しやすいということです。

したがって、自分の損得だけでなく相手の気持ちも考えることのできる次の道徳判断段階に繋げる為には、大切な人が喜んでくれることに意味があるということを日々の生活の中で体験させてあげることはとても重要です。

3段階:小学校中高学年

3段階では、親やクラスメート、学校の先生といった身近な他人から「良い子」と評価されることに価値が置かれる段階です。この段階の子供は、友達から先に殴られて殴り返したとしても、それが解決にはならないということを理解するようになっています。

他人の期待に沿って行動し、評価されることで、自己評価も高まり、気分も良くなります。子どもの成長に合わせて、家庭でも子どものできるお手伝いをさせたり、地域のボランティアに参加させ、他者のために役立つ体験をさせてみるのもとても良いことでしょう。

参考:子供の認知発達に応じた道徳判断の育て方

12歳からの敏感期

最後にご紹介するのは12歳以降に現れる敏感期です。

社会生活に対する敏感期

12歳以降のいわゆる思春期には、仕事・地域・人間関係といったすべての社会生活に対して興味が強くなります。

「家庭や学校の一員である自分」という認識から「人間社会の中の一人」という意識が生まれるため、一人暮らしをしたいとか、親から離れて独り立ちしたいといった欲求が芽生えてくるのが特徴です。

第2次性徴を迎える時期でもあり大きな変化を経験するこの時期の子どもたちを、マリア・モンテッソーリは社会的新生児と呼んでいます。

また、モンテッソーリ教育では中学から高校にかけてアードキンダーと呼ばれる寄宿舎学校に入学することが一般的で、子どもたちは親と離れて暮らし、そこで小さな社会・経済活動を行います。

まとめ

ということで今回は、モンテッソーリ教育を語る上では絶対に欠かせない敏感期についてお話しました。

まずはそれぞれの敏感期を知っておくことから始めてはいかがでしょうか。

子どもたちをよく観察する中で敏感期のサインを見て取れるようになれば、適切なかかわり方を選ぶことができ、子どもの身体的・精神的発達や自己構築をサポートしてあげることができます。

そして、敏感期についてもっと知りたい方にぜひ読んでいただきたいのが、相良敦子先生の『お母さんの「敏感期」』です。

相良先生が実際に見聞きした敏感期の事例や、リアルな場面での対応方法などとても詳しく、そしてわかりやすく綴られています。

それでは今回は、このへんで!

ごきげんよう!